2023年
問題13建築物衛生法に基づく特定建築物等の立入検査等に関する次の記述のうち,最も不適当なものはどれか.
(1)都道府県知事等の立入検査を拒否した者は,30万円以下の罰金に処せられる.
(2)都道府県知事等の報告の求めに応じなかった者は,30万円以下の罰金に処せられる.
(3)都道府県知事等は,必要に応じて犯罪捜査のために立入検査を実施できる.
(4)保健所は,特定建築物に該当していない建築物であっても,多数の者が使用し,又は利用する場合は,環境衛生上必要な指導を実施できる.
(5)都道府県知事等は,維持管理が建築物環境衛生管理基準に従って行われておらず,かつ,環境衛生上著しく不適当な事態が存すると認めるときは,改善命令や使用停止命令等の処分を行うことができる.
2023年
問題13正解(3)頻出度AAA
都道府県知事(保健所を設置する市,特別区にあっては市長,区長)は,この法律の施行に関し必要があると認めるときは,特定建築物所有者等に対し,必要な報告をさせ,又はその職員に,特定建築物に立ち入り,その設備,帳簿書類その他の物件若しくはその維持管理の状況を検査させ,若しくは関係者に質問させることができる.ただし,住居に立ち入る場合においては,その居住者の承諾を得なければならない.前項の規定により立入検査を行う職員は,その身分を示す証明書を携帯し,関係者の請求があつたときは,これを提示しなければならない.この権限は,犯罪捜査のために認められたものと解してはならない.
-(1) ,-(2) は30万円以下の罰金※の対象である.
あと罰則でよく出るのは,命令に違反して建築物環境衛生管理技術者免状を返納しなかった者,登録業の登録を受けないで,登録を受けたかのような表示をした者(いずれも10万円以下の過料).
※ 罰則について
過料:行政上の義務の履行を強制する手段として,あるいは法令の違反に対する制裁ないし懲戒として科せられる金銭罰.科料,罰金と違って刑罰ではなく,刑法・刑事訴訟法は適用されない(前科とならない).
科料:刑法の定める刑罰の1つ.軽微な犯罪に科す財産刑.千円以上1万円未満.罰金より軽い.
罰金:刑法の定める刑罰の1つ.1万円以上.科料より重い財産刑.
-(4) 地域保健法第6条に基づいて保健所は,環境の衛生に関する事項について,(多数の者が使用し,又は利用する場合だけに限らず)企画,調整,指導及びこれらに必要な事業を行うことができる.
一方,ビル管理法の立入検査などの都道府県知事の権限はあくまでも特定建築物が対象である(ただし次のような条文があることに注意).
「特定建築物以外の建築物で多数の者が使用し,又は利用するものの所有者,占有者その他の者で当該建築物の維持管理について権原を有するものは,建築物環境衛生管理基準に従つて当該建築物の維持管理をするように努めなければならない.」(ビル管理法第4条3項).
-(5) ビル管理法第12条(改善命令等)都道府県知事は,厚生労働省令で定める場合において,特定建築物の維持管理が建築物環境衛生管理基準に従つて行なわれておらず,かつ,当該特定建築物内における人の健康をそこない,又はそこなうおそれのある事態その他環境衛生上著しく不適当な事態が存すると認めるときは,当該特定建築物の所有者,占有者その他の者で当該特定建築物の維持管理について権原を有するものに対し,当該維持管理の方法の改善その他の必要な措置をとるべきことを命じ,又は当該事態がなくなるまでの間,当該特定建築物の一部の使用若しくは関係設備の使用を停止し,若しくは制限することができる.