2023年
問題3建築物における衛生的環境の確保に関する法律(以下「建築物衛生法」という.)に基づく特定建築物の用途に関する次の記述のうち,最も不適当なものはどれか.
(1)興行場は,興行場法に基づく興行場をいう.
(2)旅館は,旅館業法により許可を受けた施設に限られる.
(3)学校は,学校教育法に基づく学校に限られる.
(4)博物館は,博物館法に基づく博物館に限らない.
(5)図書館は,図書館法に基づく図書館に限らない.
2023年
問題3正解(3)頻出度AAA
ビル管理法の特定建築物の用途(特定用途)の「学校」には,学校教育法に基づく学校以外の, 「各種学校類似の教育を行うもの,国,地方自治体,企業の研修所も含まれる」(2023-3-1表参照).
興行場 |
興行場法第1条第1項に規定する興行場をいう.すなわち,映画,演劇,音楽,スポーツ,演芸又は見世物を公衆に見せ,又は聞かせる施設のことである. |
百貨店 |
大規模小売店舗立地法第2条第2項に規定する大規模小売店舗をいう. |
旅館 |
旅館業法第2条第1項に規定する旅館業(ホテル,旅館等)を営むための施設をいう. |
図書館 |
図書,記録その他必要な資料を収集し整理し,保存して,公衆の利用に供することを目的とする施設をいい,図書館法の適用を受けるものに限らない. |
博物館,美術館,水族館 |
歴史,芸術,民俗,産業,自然科学等に関する資料を収集,保管,展示して,公衆の観覧,利用に供することを目的とする施設をいい,博物館法の適用を受けるものに限らない. |
集会場 |
会議,社交等の目的で公衆の集会する施設をいい,公民館,市民ホール各種会館結婚式場等. |
遊技場 |
マージヤン,パチンコ,卓球,ボーリング,ダンスその他の遊技をさせる施設. |
店舗 |
一般卸売店,小売店のほか,飲食店,喫茶店,バー,理容所,美容所その他サービス業に係る店舗を広く含む. |
事務所 |
事務をとることを目的とする施設をいう.なお,人文科学系の研究所等,そこにおいて行われる行為が事実上事務と同視される施設については,名称のいかんを問わず,事務所に該当する. |
学校教育法第1条に規定する学校等以外の学校 |
専修学校,各種学校,各種学校類似の教育を行うもの,国,地方自治体,企業の研修所も含まれる. |
学校教育法第1条に規定する学校等 特定用途の面積8,000m2以上に限る. |
幼稚園,小学校,中学校,高等学校,中等教育学校(いわゆる中高一貫校),特別支援学校,大学,高等専門学校,幼保連携型認定こども園 |
ビル管理法は特定建築物を対象とする法律である.
特定建築物はその用途と特定用途の延べ面積で決められている.
特定建築物の面積の要件は,
1.特定用途の合計の延べ面積が3,000m2以上(だだし,学校教育法第1条に規定する学校等(幼稚園,小学校,中学校,高等学校,中等教育学校(いわゆる中高一貫校),特別支援学校,大学,高等専門学校,幼保連携型認定こども園)は8,000m2以上).
2.特定用途に「付随する部分」(トイレ,廊下,階段,機械室などの共用部),「付属する部分」(百貨店の倉庫,新聞社の事務所に付属する印刷工場,映画館のロビーなど)の面積は特定用途の面積に合算する.
3.同一敷地内に数棟の建築物がある場合には合算せず1棟ごとに計算して,1棟ごとに特定建築物かどうか判断する.
特定用途とは,『多数の者が使用し,又は利用し,かつ,その維持管理について環境衛生上特に配慮が必要なものとして政令で定めるものをいう.』(ビル管理法第2条)であるが,世の中には,判断に迷う用途もある.
出題された,特定用途でないものを2023-3-2表に挙げる.特殊な環境と判断されるものは大体除かれている.
工場,作業場,倉庫,病院・診療所,寄宿舎,駅舎,寺院・教会・神社,自然科学系の研究所 |
|
建築基準法の定める「建築物」でないもの |
鉄道及び軌道の線路敷地内の運転保安に関する施設並びに跨線橋,プラットホームの上家※,貯蔵槽その他,これらに類する施設 |
地下街の地下道,広場(地下街の店舗,事務所等は建築物(地下街の店舗,事務所等は建築物なので特定建築物に該当する.)) |
|
共同住宅を含む住居あるいは住居部分 |
住居あるいは特定建築物内の住居部分は特定用途とならない. |
公共駐車場 |
公共駐車場はいついかなる場合も特定建築物の用途とはならない. |
独立棟の駐車場 |
同じ建物内の店舗や事務所付属の駐車場は特定用途に付属する部分として特定用途の面積に合算しなければならないが,駐車場が独立棟の場合は除かれる. |
電力会社の地下式変電所 |
事務所ビルに設置された電力会社の地下式変電所(借室電気室) |
フィットネスクラブ スポーツジム |
フィットネスクラブ,スポーツジムは,一般に娯楽性が極めて強く遊技場と同視できるような場合を除き,特定建築物に該当しない. |
保育施設 |
幼保連携型認定こども園を除く保育施設(保育園,託児所等)は特定用途に該当しないとされる. |
※ プラットホームの上屋例えば,駅ビルなどについては,改札(業界用語で”ラチ”などという)内は建築基準法の対象外となるが,改札より外商店街や事務所はもちろん建築基準法の対象となり,ビル管理法の特定用途に該当する.改札内は,鉄道営業法,鉄道に関する技術上の基準を定める省令とその解釈が適用される.