2023年

問題22環境衛生に関する次の記述のうち,最も不適当なものはどれか.

(1)許容濃度は一般環境の基準として用いてはならない.

(2)(公社) 日本産業衛生学会は, 労働者の有害物質による健康障害を予防するために許容濃度を公表している.

(3)許容濃度以下であれば,ほとんど全ての労働者に健康上の悪い影響が見られないと判断される.

(4)有害物の量と集団の反応率との関係を,量影響関係という.

(5)学校における環境衛生の基準は,学校保健安全法で定められている.

2023年

問題22正解(4)頻出度AAA

有害物の量と集団の反応率の関係は,量-反応関係という(2023-22-1表参照).

2023-22-1表量-反応関係と量-影響関係
量-反応関係 集団レベル 環境条件が厳しくなると,集団の中では,影響を受ける人の割合が増えてくる.
量-影響関係 個体レベル 個体に対する有害物の影響は,その有害物の量(負荷量)が増えるにつれて個体内部での恒常性が保たれなくなり,最終的には死に至る.

-(1)-(3)(公社)日本産業衛生学会・「 許容濃度等の性格および利用上の注意」は,「許容濃度等の数値を,労働の場以外での環境要因の許容限界値として用いてはならない.」としている.

-(2)勧告された許容濃度の例:ホルムアルデヒド許容濃度 0.1ppm,最大許容濃度 0.2ppm等.
※ 最大許容濃度は,健康への影響が大きく,短時間で影響が起こる化学物質などに対して用いられる.

-(5) 学校保健安全法 第6条 文部科学大臣は,学校における換気,採光,照明,保温,清潔保持その他環境衛生に係る事項について,児童生徒等及び職員の健康を保護する上で維持されることが望ましい基準(以下この条において「学校環境衛生基準」という.)を定めるものとする(2023-22-2表参照).

2023-22-2表学校環境衛生基準(項目)
第1 教室等の環境に係る学校環境衛生基準(換気及び保温等,採光及び照明・照度,騒音レベル)
換気及び保温の検査項目(二酸化炭素,温度,相対湿度,浮遊粉じん,気流,一酸化炭素,二酸化窒素,揮発性有機化合物(ホルムアルデヒド,トルエン他),ダニ又はダニアレルゲン)
第2 飲料水等の水質及び施設・設備に係る学校環境衛生基準検査項目(一般細菌,大腸菌,塩化物イオン,全有機炭素,pH,味,臭気,色度,濁度,残留塩素等)
第3 学校の清潔,ネズミ,衛生害虫等及び教室等の備品の管理に係る学校環境衛生基準(学校の清潔,ネズミ,衛生害虫等,教室等の備品の管理)
第4 水泳プールに係る学校環境衛生基準(水質,プール施設・設備の衛生状態)
第5 日常における環境衛生に係る学校環境衛生基準(上記第1~第4について毎授業日に行う日常点検)
第6 臨時の検査と検査方法,記録の保存,図面等の保存