2023年
問題25高齢者における温度環境に関する次の記述のうち,最も不適当なものはどれか.
(1)一般に若年者に比べて暖かい温度を好むとされている.
(2)寒さに対する感受性は若年者に比べて高い傾向にある.
(3)冬季における深部体温は,若年者に比べて低い傾向にある.
(4)放射熱がない場合,高齢者の8割を満足させる気温の範囲は青年に比べて狭い範囲となる.
(5)寒冷環境に暴露された際の血圧の変動が,若年者に比べて顕著である.
2023年
問題25正解(2)頻出度AAA
冬期の集合住宅内の温度を測定した調査によると,高齢者の居住する部屋の室温は若年者と比較して低い場合が多い.
高齢者と温度環境については,高齢者は身体活動が少なく,また代謝量も少ないため,若年者より暖かい室温を好むとされているのにもかかわらず居住する室温が低い原因は,皮膚の冷点,痛点が減少しているために寒さを感じにくくなっていることが一因であると考えられる.このため,低体温症(深部体温 35℃未満)になりやすく,呼吸器系の疾
患を罹患しやすい.
高齢者は放射熱暖房器具(赤外線ストーブ等)を好む傾向があり,外部環境への適応力が低下した高齢者の満足する気温の範囲は,特に放射熱暖房がない場合に青年に比べ狭い範囲となる.
高齢者では,寒冷環境に曝露された際の血圧の変動が若年者に比べ顕著で,居間などと風呂場などの温度差は脳卒中などを引き起こす原因となる.