2023年

問題28アレルギーに関する次の記述のうち,最も不適当なものはどれか.

(1)アレルギーは,ヒトに有害な免疫反応である.

(2)アレルギー反応の発現には,体内の細胞の働きが関係するものがある.

(3)低湿度は,気管支喘息の増悪因子である.

(4)予防には,ダニや真菌が増殖しないよう,換気や清掃が重要である.

(5)建築物衛生法において,ダニ又はダニアレルゲンに関する基準が定められている.

2023年

問題28正解(5)頻出度AAA

ご存知のように,室内汚染物質についてビル管理法に定められている項目は,一酸化炭素,二酸化炭素,浮遊 粉じんとホルムアルデヒドだけである.

学校環境衛生基準には,ダニ又はダニアレルゲンの基準が定められている(100 匹/m2以下又はこれと同等のアレルゲン量以下であること).

-(2) ある個体に特定の抗原(体内に侵入した異物=アレルゲン)によって,その抗原に特異的に結合(攻撃)する抗体免疫グロブリンと呼ばれる蛋白質)やリンパ球(白血球球の一種)が体内に生じる.これを抗原抗体反応,あるいは免疫反応という.そのうち人に有害な免疫反応をアレルギーと呼んでいる(2023-28-1図参照).

2023-28-1図アレルギー発症のメカニズム
アレルギー発症のメカニズム

抗原との二次接触でアレルゲンが肥満細胞に結合し,さらに抗体(IgE,免疫グロブリンE)が結合すると,肥満細胞からヒスタミン等の化学伝達物質が放出される.それらの化学伝達物質は,血管の透過性を増し,気管支壁にある平滑筋を収縮させ,気管支の内腔に分泌される粘液を増加させ,白血球を集める作用がある.アレルギー性鼻炎で鼻汁やくしゃみが出たり,気管支喘息ぜんそくで呼吸困難発作が起きるのは,この反応による.

-(3) 低湿度は気管支喘息の増悪因子の一つであるが,アレルギーの発症,増悪(病態の急な悪化,発作)には,まず第一に患者の素因が関係している.アレルゲンの同定は,症状発生の防止,治療の上で重要である.アレルゲン同定の方法の1つに,皮内テストがある.