2023年

問題31オゾンに関する次の記述のうち,最も不適当なものはどれか.

(1)水に溶けにくい.

(2)紫外線による光化学反応で生成される.

(3)(公社)日本産業衛生学会は,作業環境におけるオゾンの許容濃度を示している.

(4)吸入すると肺の奥まで達し,肺気腫を起こすことがある.

(5)無臭である.

2023年

問題31正解(5)頻出度AAA

オゾンは独特な刺激臭を持つ.

オゾンはフッ素の次に酸化力の強い物質で,オゾン濃度が0.3~0.5ppm程度になると肺や気道粘膜を刺激しはじめる.

オゾンは光化学オキシダントの主成分であり,独特な刺激臭を持った青い色を呈する気体で水に溶けにくく肺の奥まで侵入し呼吸器に影響をおよぼし,肺気腫の原因となる.
※ 光化学オキシダントの大気汚染に係る環境基準:1時間値が0.06ppm以下であること.

オゾン(O3)は大気中の酸素分子(O2)から,太陽光などに含まれる紫外線の高エネルギーによる光化学反応によって生じる(可視光や赤外線の低レベルのエネルギーでは発生しない).

落雷の放電にともなう紫外線でもオゾンは発生するが,人間の環境に影響する大部分のオゾンは下式の通り自動車やその他の燃焼過程の排気ガス中に含まれている炭化水素と窒素酸化物の光化学反応の結果として生成される.

数式

数式

数式:紫外線(のエネルギー)

この後,オゾンは最初の反応で発生した一酸化窒素と反応して二酸化窒素と酸素分子に戻るが,

数式

周囲に炭化水素が存在すると,一酸化窒素はそちらに奪われてしまうため,オゾンが蓄積し高濃度となる.

室内のオゾン量に重要な影響を与えそうな発生源は,コロナ放電による紫外線を伴うコピー機,レーザープリンタ,静電式空気清浄機である.

-(3) (公社)日本産業衛生学会の勧告による作業環境におけるオゾンの許容濃度は,0.1ppm(0.2mg/m3).