2023年

問題41ヒトと水に関する次の記述のうち,最も不適当なものはどれか .

(1)一般成人における体内水分量は,体重の約60%である.

(2)水分・体液のうち,細胞内液は約2/3である.

(3)成人の場合,不可避尿として1日最低1L以上の尿排せつが必要である.

(4)一般に, 体重当たりの体内水分量は女性より男性の方が多い.

(5)水分の欠乏率が体重の約2%になると,強い渇きを感じる.

2023年

問題41正解(3)頻出度AAA

不可避尿ふかひにょうは,0.4~0.5L/日である.

通常の食事及び水分摂取の状態で成人が1日に排せつする尿の量は1~2Lであるが,老廃物の排泄のためには1日に最低0.4~0.5Lの尿が必要で,これは不可避尿と呼ばれる.

人体における水の収支2023-41-1表にあげる.

2023-41-1表1日当たりの人体の水の収支
損失[mL] 摂取[mL]
呼吸器 400 食物 1,200
皮膚 600 飲料水 1,000
糞便 100 代謝水 300
尿 1,400
(合計) 2,500 (合計) 2,500

代謝水:体内における食物の代謝過程で生成される水.通常成人で日に0.3Lである.

-(1) 体内の水分量の内訳2023-41-2表のとおり.

2023-41-2表体内の水分量の内訳
分類 体重に占める割合
細胞内液 40%
細胞外液 20% 組織間液 15%
血漿 5%

幼若であるほど体内の水分の割合は高い.加齢とともに,体内の水分量は少なくなる.

一般に女性の方が体重当たりの水分量は少ないとされる.

-(5) 水分欠乏率と脱水症状2023-41-3表参照.

2023-41-3表水分欠乏率と脱水症状(水分欠乏率は対体重概略値)
欠乏率 脱水症状
1% のどの渇き
2% 強い渇き,ぼんやりする,重苦しい,食欲減退,血液濃縮
4% 動きのにぶり,皮膚の紅潮化,いらいらする,疲労及び嗜眠しみん,感情鈍麻,吐気,感情の不安定
6% 手・足のふるえ,熱性抑うつ症,昏迷,頭痛,熱性こんぱい,体温上昇,脈拍・呼吸数の増加
8% 呼吸困難,めまい,チアノーゼ,言語不明瞭,疲労増加,精神錯乱
10~12% 筋けいれん,平衡機能失調,失神,舌の腫脹,譫妄せんもう及び興奮状態,循環不全,血液濃縮及び血液の減少,腎機能不全
15~17% 皮膚がしなびてくる,飲込み困難,目の前が暗くなる,目がくぼむ,排尿痛,聴力損失,皮膚の感覚鈍化,舌がしびれる,眼瞼がんけん硬直
18% 皮膚のひひ割れ,尿生成の停止
20%以上 死亡

人が必要とする水分の量は普通1日約1.5Lである.体重当りに換算すると小児は成人の3~4倍の水分を必要とする.