2023年

問題54通風を行う開口部の通過風量に関する次の式のア〜ウに入る用語の組合せとして,正しいものはどれか.

建物の窓などの開口部で通風が行われる場合,通過量数式は下記のような式に表すことができる.

 

数式

(1)相当開口面積      空気の密度       開口部前後の圧力差

(2)開口部前後の圧力差   相当開口面積      空気の密度

(3)相当開口面積      開口部前後の圧力差   空気の密度

(4)開口部前後の圧力差   空気の密度       相当開口面積

(5)空気の密度       相当開口面積      開口部前後の圧力差

2023年

問題54正解(1)頻出度AAA

ア「相当開口面積」,イ「空気密度」,ウ「開口部前後の圧力差」である.すなわち,

数式

ただし,数式:流量係数,数式:開口面積[m2],数式:換気空気の密度[kg/m3],数式:換気力[Pa].

換気力数式とは,開口部前後の空気の圧力差である.この圧力差は,風圧(移動する空気の動圧)だけではなく,温度差(空気の密度の差)によっても,もたらされる.

外部風による換気力数式[Pa]は,次式によって与えられる.

数式

ただし数式:風速[m/s],数式数式:建物の風上,風下の風圧係数,数式:空気の密度[kg/m3].

風圧係数は実験的に求めるが,2023-58-1図のとおり風の向きで正負の値をとる.

2023-58-1図風圧係数
風圧係数

温度差による換気力数式は次式で表される.

数式

ただし,数式:開口部間の高さの差[m],数式数式:その時の温度・高さによる内外空気の密度[kg/m3],数式:重力加速度(9.8m/s2).

換気量数式[m3/s]はこれらの換気力を,冒頭にも挙げた次式に代入して求めることができる.

数式

数式:流量係数,数式:開口面積[m2],数式:換気空気の密度[kg/m3])

流量係数数式とは,オリフィスや弁などの実流量/理論流量の比のことで,流入口から流出口までの全ての抵抗を考慮した係数である.流量係数は,通常の窓で0.6~0.7程度となる.数式相当開口面積という.

風力による換気量なら,

数式

この式から,風力による換気量は,風速,開口面積に比例し,風圧係数の差の平方根に比例することが分かる.

2023-54-1表自然換気の換気力と換気量についてまとめた.

2023-54-1表自然換気の換気力と換気量
換気力数式[Pa] 換気量数式[m3/s]
風力換気
  • 開口部前後の圧力差に比例
  • 風速の2乗に比例
  • 風上,風下の風圧係数の差に比例
  • 開口部前後の圧力差の平方根に比例
  • 風速に比例
  • 風圧係数の差の平方根に比例
温度差換気
  • 室内外の温度の差に比例
  • 給気口と排気口の高低差に比例
  • 室内外の空気の密度の差に比例
  • 温度差の平方根に比例
  • 高低差の平方根に比例
  • 密度の差の平方根に比例