2023年
問題56換気と必要換気量に関する次の記述のうち,最も不適当なものはどれか.
(1)必要換気量は,人体への影響,燃焼器具の影響,熱・水蒸気発生の影響等から決定される.
(2)必要換気量は,人体から発生する二酸化炭素を基準として求めることが多い.
(3)理論廃ガス量とは,燃料が不完全燃焼した場合の廃ガス量のことである.
(4)機械換気は,送風機や排風機等の機械力を利用して室内の空気の入れ換えを行う.
(5)ハイブリッド換気は,自然換気の省エネルギー性と機械換気の安定性の両者の長所をいかした換気の方法である.
2023年
問題56正解(3)頻出度AAA
理論廃ガス量とは,燃料が理論空気量(燃料を完全に燃焼させるために必要な最低の空気量)で完全燃焼したと仮定したときの燃焼排ガス量である.理論排ガス量は理論空気量の約1.1倍となる.
都市ガス(13A),LP ガス(プロパン)の理論空気量はともに,発熱量1MJ当たりおよそ0.24m3,理論排ガス量はおよそ0.26m3である.
開放型燃焼器具を換気の悪い部屋で使用すると酸素濃度が次第に低下し,これが18%以下になると急激に一酸化炭素発生量が増加して人体に危険な状態となる.建築基準法では,開放型燃焼器具では,燃焼消費量に対する理論廃ガス量の 40倍以上を必要換気量と定めている.又,密閉型燃焼器具(煙突付き)に対しては理論廃ガス量の2倍以上としている※.
※ 建設省告示:換気設備の構造方法を定める件.
-(3) ビル管理法の二酸化炭素の環境衛生管理基準値「1,000ppm以下」を保つための,1人当たりの換気量を求めてみよう・
人が呼吸で発生する二酸化炭素の量を0.020m3/(人・h)(事務作業),外気の二酸化炭素の濃度を350ppmと仮定すると,
これから,およそ30m3/(人・h)の換気量を確保すればビル管理法の二酸化炭素の基準値1,000ppmを保つことができることがわかる.
-(4) 機械換気については2023-56-1表参照).
名称 | 給気 | 排気 | 室圧 | 目的・特徴 | 適用 |
第1種 機械換気 |
ファン | ファン | 正圧又は負圧 | 確実な換気量の確保 | 大規模換気・空調装置事務室,ボイラ室,建物内のごみ処理室 |
第2種 機械換気 |
ファン | 排気口 | 正圧 | 汚染空気の流入阻止 | 小規模空調装置,クリーンルーム,手術室 |
第3種 機械換気 |
給気口 | ファン | 負圧 | 汚染空気の流出阻止 | 汚染室(駐車場,工場・作業場,塗装室,ちゅう房)感染症室,トイレ,浴室・シャワールーム,別棟のごみ処理室 |
-(5) ハイブリッド換気では,建物に吹き抜けなどを設け,風の圧力差を利用した風力換気、あるいは空気の温度差を利用した重力換気などを積極的に取り入れ,足りない分を機械換気で補う.