2023年
問題85騒音レベル80dBと86dBの騒音を合成した場合の騒音レベルとして,最も近いものは次のうちどれか.
ただし,,
,
とする.
(1)83dB
(2)86dB
(3)87dB
(4)89dB
(5)166dB
2023年
問題85正解(3)頻出度AAA
合成した騒音レベルは,86dBより大きいが,86dBの騒音源が二つある場合の89dBよりは小さい.したがって,87dBの-(3) が正解と推定できる.
計算して確かめよう.
dBの加算には次の公式があるが,
真数の,かっこ内の指数の足し算が,関数電卓でもないと手に負えないので,次のように考える.
同じdBの騒音が二つある場合は+3dBになることが既知として,86dBは83dBが二つ,83dBは80dBが二つ,したがって,86dBは80dBが4つあることと同じである.もともとあった80dBとあわせて,この問題の状況は80dBの騒音源が5つあることと同じである.これを騒音レベルの定義式に入れて,
(上の公式で,関数電卓を使って計算した結果は,
dBの計算を以下にまとめた.
1.騒音源の個数が増えた場合のdB計算
同じ騒音レベルの機械を台同時に運転すると,音の強さ
[W/m2]が
倍になる.1台のときの騒音レベル(音の強さのレベル)を
[dB(A)]とすると,
台同時に運転したときの騒音レベル
は,音の強さのレベルの定義から,
すなわち,になる.
2台なら,
+3dBになる.すなわち,例えば1台で80dB(A)なら2台で83dB(A)になる.
4台なら,
+6dBになる.
6台なら,
+8dBになる.
8台なら,
+9dBになる.
10台なら,
+10dBになる.
2.騒音源からの距離による減衰の計算
点音源の場合,音源からの距離が2倍になると音の強さは になる.これを音の強さのレベルの定義式に入れて,
距離が10倍になると,
・・・20dB減衰する.
線音源の場合,音源からの距離が2倍になると音の強さは1/2になる.
・・・3dB減衰する.
線音源で距離が10になると,
・・・10dB減衰する.
上記の計算では次の対数法則を適宜利用した.
のとき,
を,
を底とする
の対数という.
は自明の場合は省略することが多い.
指数法則,などから,
法則1
法則2
法則3
法則4
真数,
が掛け算のときはそれぞれの対数の足し算,割り算のときはそれぞれの対数の引き算に分解できる.
dBの計算問題は,受験対策的には2023-85-1表を覚えてしまうのがよい.
点状の騒音源から2倍の距離 | -6dB |
点状の騒音源から10倍の距離 | -20dB |
線状の騒音源から2倍の距離 | -3dB |
線状の騒音源から10倍の距離 | -10dB |
同じ騒音レベルの機械を2台 | +3dB |
同じ騒音レベルの機械を4台 | +6dB |
同じ騒音レベルの機械を8台 | +9dB |
同じ騒音レベルの機械を10台 | +10dB |
3.ここのところよく出題される面状の音源(2023-85-1図)からの距離による減衰.
有限の面積の面音源では,音源からの距離dによって,下記のように面音源~線音源~点音源の減衰特性を示す.
①・・・・・面音源の特性
(ほとんど減衰しない)
②・・・・・線音源の特性
(-3dB/d.d※)
③・・・・・点音源の特性
(-6dB/d.d.)
※ d.d.:ダブル・ディスタンス=距離が倍になるごとに.
この減衰特性をグラフにすると2023-85-2図のようになる.