2023年

問題86音・振動問題の対策に関する次の記述のうち,最も不適当なものはどれか.

(1)新築の建物の使用開始直後において,騒音・振動について設計目標値を満たしているにもかかわらず発生するクレームは,保守管理責任の範ちゅうではない.

(2)外部騒音が同じ場合,コンサートホール・オペラハウスの方が録音スタジオよりも高い遮音性能が求められる.

(3)空気伝搬音を低減するためには,窓・壁・床等を遮音する必要がある.

(4)経年による送風機の音・振動の発生状況に問題がないか確認するため,ベルトの緩み具合などを定期的に検査する.

(5)寝室における騒音は,骨伝導で感知される固体伝搬音も評価する必要がある.

2023年

問題86正解(2)頻出度AAA

日本建築学会の遮音性能基準によれば,最も高い遮音性能を求められるのは録音スタジオで,好ましい遮音性能(1級)で騒音レベル 20dB(A)(騒音等級 N-20)などとなっている(コンサートホール・オペラハウスでそれぞれ 25dB(A)(N-25)).2023-86-1表参照.

2023-86-1表室内騒音に関する適用等級(日本建築学会)
建築物 室用途 騒音レベルdB(A) 騒音等級
1級 2級 3級 1級 2級 3級
集合住宅 居室 35 40 45 N-35 N-40 N-45
ホテル 客室 35 40 45 N-35 N-40 N-45
事務所 オープン事務室 40 45 50 N-40 N-45 N-50
会議・応接室 35 40 45 N-35 N-40 N-45
学校 普通教室 35 40 45 N-35 N-40 N-45
病院 病院(個室) 35 40 45 N-35 N-40 N-45
コンサートホール・オペラハウス 25 30 N-25 N-30
劇場・多目的ホール 30 35 N-30 N-35
録音スタジオ 20 25 N-20 N-25

適用等級の意味
適用等級 遮音性能の水準 性能水準の説明
特級 遮音性能上とくにすぐれている 特別に高い性能が要求された場合の性能水準
1級 遮音性能上すぐれている 建築学会が推奨する好ましい性能水準
2級 遮音性能上標準的である 一般的な性能水準
3級 遮音性能上やや劣る やむを得ない場合に許容される性能水準

-(5) 気導が,音が外耳と中耳を通して内耳へ伝えられることを言うのに対して,骨導(骨伝導)とは,音が頭がい骨と軟部組織の機械振動を通して内耳へ伝えられることをいう(録音された自分の声を聴くと違和感を感じるのは,録音されているのは気導だけによる音声なのに対し,普段我々は自分の声を,気導と骨導のミックスで聞いているからである).横になっていると,立位,座位では聞こえない個体伝搬音が,寝具などを通して聞こえる場合がある.