2023年

問題104建築基準法の用語に関する次の記述のうち,最も不適当なものはどれか.

(1)床面積とは,建築物の各階又はその一部で,壁その他区画の屋外側(外壁)境界線で囲まれた部分の水平投影面積のことである.

(2)容積率(延べ面積/敷地面積)の制限に関して,一定割合の自動車車庫,駐車場等の面積は,延べ面積から差し引くことができる.

(3)居室とは,人がある程度長い時間使用し続ける室空間で,階段廊下,洗面所等,一時的な使用に供するものは含まれない.

(4)主要構造部には,建物の基礎及び土台は含まれない.

(5)耐火性能とは,通常の火災が終了するまでの間,当該火災による建築物の倒壊及び延焼を防止するために当該建築物の部分に必要とされる性能をいう.

2023年

問題104正解(1)頻出度AAA

床面積:建築物の各階又はその一部で壁その他の区画の中心線で囲まれた部分の水平投影面積による(建築基準法施行令第2条三).
ちなみに「延べ面積」は,「建築物の各階の床面積の合計による.」(同四).

-(2) 建築基準法は容積率によって,極端なペンシルビルなどが建たないように乱開発を規制しているが,床面積の用途によって容積率の緩和も規定されている.例えば自動車車庫等の場合は,違法駐車対策として,延べ面積の5分の1を限度として延べ面積から差し引くことができる(建築基準法施行令第2条四,3).2023-104-1表参照.

2023-104-1表容積率の緩和
延べ面積から差し引ける面積
用途・対象 差し引く面積の限度
(延べ面積に対する割合)
自動車車庫等部分 5分の1
備蓄倉庫部分 50分の1
蓄電池設置部分 50分の1
自家発電設備設置部分 100分の1
貯水槽設置部分 100分の1
宅配ボックス設置部 100分の1

-(4) 主要構造部:柱,床,はり,屋根又は階段をいい,建築物の構造上重要でない間仕切壁,間柱,付け柱,揚げ床,最下階の床,回り舞台の床,小ばり,ひさし,局部的な小階段,屋外階段その他これらに類する建築物の部分を除くものとする(建築基準法第2条五).

「主要構造部」と「構造耐力上主要な部分」(建築基準法施行令第1条三)を混同しないこと.「主要構造部」は,主に防火の観点から定められている.

構造耐力上主要な部分:基礎,基礎ぐい,壁,柱,小屋組,土台,斜材(筋かい,方づえ,火打材その他これらに類するものをいう.),床版,屋根版又は横架材(はり,けたその他これらに類するものをいう.)で,建築物の自重若しくは積載荷重,積雪荷重,風圧,土圧若しくは水圧又は地震その他の震動若しくは衝撃を支えるものをいう.

-(5) 耐火性能」とよく似た用語として「防火性能」がある.防火性能とは,建築物の周囲において発生する通常の火災による延焼を抑制するために当該外壁又は軒裏に必要とされる性能をいう(建築基準法第2条八).