2023年

問題93鉄筋コンクリート構造とその材料に関する次の記述のうち,最も不適当なものはどれか.

(1)セメントペーストは,砂,セメント,水を練り混ぜたものである.

(2)はりに設けられた設備配管のための開孔部の径は,一般に梁せいの1/3以下とする.

(3)コンクリートと鉄筋の線膨張係数は,ほぼ等しい.

(4)柱の帯筋比は,0.2%以上とする.

(5)中性化している部分のコンクリート表面からの距離を中性化深さという.

2023年

問題93正解(1)頻出度AAA

砂,セメント,水を練り混ぜたものは「モルタル」である(2023-93-1表参照).

2023-93-1表コンクリート,モルタル,セメントペースト
名称 構成材料 主用途 備考
コンクリート セメント

骨材(砂利)
構造物
モルタル セメント

接合材,仕上げ 別名「とろ」
セメントペースト セメント
下地,目地 「のろ」

-(2) はりにあける設備用の貫通孔は,柱に近い部分を避け中央部に設けて,貫通孔と貫通孔の中心間隔は孔の直径の 3 倍以上とする(2023-93-1図参照).
貫通孔の直径は主筋を避けて,梁せい(梁の高さ)の1/3以下とし,開孔部には十分な開孔補強筋を配置する.
建築後,梁に貫通孔をあけることは構造耐力上好ましくない.

2023-93-1図梁に開ける貫通孔(スリーブ)
梁に開ける貫通孔

-(3) 鉄筋とコンクリートの線膨張係数はほぼ等しく(およそ10-5/℃),相互の付着性能もよいことが,鉄筋コンクリート造を可能にしている.

-(4) 帯筋比」」とは,柱の軸断面の,帯筋の断面積の,コンクリートの断面積に対する比である.建築基準法施行令で0.2%以上と定められている.

鉄筋コンクリート造の配筋については,2023-93-2図2023-93-2表参照.

2023-93-2図鉄筋コンクリート造の配筋
鉄筋コンクリート造の配筋

出典日本建築学会 市民のための耐震工学講座
https://www.aij.or.jp/jpn/seismj/lecture/lec7.htm を基に作成

2023-93-2表配筋の名称と負担する応力
配筋の名称 負担する応力 備考
柱の主筋 曲げモーメント,軸方向力
柱の帯筋 せん断力 フープともいう.
梁の主筋 曲げモーメント
梁の折り曲げ筋 せん断力 梁の反曲点付近に入れる.
梁のあばら筋 せん断力 スターラップともいう.

-(5) アルカリ性のコンクリートは空気中の炭酸ガスの影響で次第に表面から中性化していき,内部の鉄筋への防錆効果を失っていく.中性化深さは経過時間の平方根に比例すると言われる.中性化の程度はフェノールフタレインpH指示薬で調べることができる.