2023年

問題96建築材料と部材の性質に関する次の記述のうち,最も不適当なものはどれか.

(1)コンクリートの混和材には,フライアッシュ,高炉スラグ,シリカヒューム等がある.

(2)単板積層材(LVL)は,主に柱やはりに用いられる.

(3)一般に,コンクリートのひび割れ幅が0.1〜0.2mm以上になると鉄筋の腐食が著しくなる.

(4)鋼材は等方性材料である.

(5)木材の含水率は,水分を含んでいる木材の質量の,絶乾質量に対する割合をいう.

2023年

問題96正解(5)頻出度AA

木材の[含水率]=[水分の質量/(木材の質量-水分の質量)]である.分母の(木材の質量-水分の質量)を絶乾質量という.

木は,建築材料として利用するにはよく乾燥させる必要がある.切り出したばかりの生木の含水率は40~100%であるが,大気中に放置して含水状態が平衡に達した状態を気乾状体といい,そのときの含水率は 12~15%である.

-(1) 混和材料とは,コンクリートに特別の性質を与えるために,セメント,水,砂,砂利以外に加える材料のことで,混和剤と混和材に分類される(2023-96-1表参照).

2023-96-1表コンクリートの混和材料
混和剤 使用量が少なく薬品的な扱いをされ るもの AE剤,減水剤,AE減水剤
混和材 使用量が比較的多く骨材的な扱いをされるもの フライアッシュ,シリカヒューム,高炉スラグ

AE剤(Air Entraining Agent:空気連行剤)は,コンクリート中に多くの独立した微細な空気泡(エントレインドエア)を一様に連行し,ワーカビリティーおよび耐凍害性を向上させるために用いる界面活性剤の一種.
減水剤は,セメントと水を混ぜた際に粉末状セメントの表面に吸着し,反発力のある静電気を帯びることによってセメント粒子を分散させ,セメントペーストの流動性を高める.水セメント比を改善する.
AE減水剤は減水剤とAE剤の作用を併せ持つものを言う.
フライアッシュ (Fly ash) は,石炭を燃焼する際に生じる灰の一種.燃焼ガスとともに吹き上げられる球状の微粒子で,電気集塵機などで回収される.
シリカフューム(シリカヒューム)は,金属シリコン・電融ジルコニア等を製造する際にダストを集塵する際に副生される高純度SiO2の非晶質球状微粒子.
高炉スラグ(鉱さい)銑鉄を製造する高炉で溶融された鉄鉱石の鉄以外の成分が,副原料の石灰石やコークス中の灰分と一緒に分離回収されたもの.

-(2) CLTなど集成材,合板の種類は2023-96-2表参照.

2023-96-2表集成材,合板などの種類
集成材,合板などの種類

出典藤寿産業株式会社
https://toju.co.jp/feature02 を基に作成

LVLは柱や梁の軸材,CLTは板材として用いられることが多い.

-(3) コンクリートの経年に伴う劣化要因には,中性化,凍害,塩害,アルカリ骨材反応,ひび割れなどがある(2023-96-1図参照).

2023-96-1図コンクリートの劣化による「爆裂」
コンクリートの劣化による爆裂

出典 ベストウイングテクノ株式会社
https://www.technobestwing.jp/media/useful/a429

ひび割れに対しては,鉄筋の適切な配置や施工の管理で,ひび割れが集中しないようにすることが対策となる.

-(4) 自然素材の木材の力学的強度は,繊維方向>半径方向>接線方向であるが,工業製品である鋼材は,基本的に荷重の方向で力学特性が変わらない等方性材料である.