2023年
問題98建築設備に関する次の記述のうち,最も不適当なものはどれか.
(1)LPガス容器は一般的に鋼板製のものが多く,高圧ガス保安法に基づく検査合格刻印がされたもの等でなければ使用できない.
(2)エスカレーターの公称輸送能力は,定格速度と踏段幅により決定される.
(3)受変電設備とは,電力会社から送電された高圧電力を受電し,所定の電圧に下げて建物内で安全に利用できるようにする設備である.
(4)非常用エレベーターを複数設置する場合は,まとまった位置に設けるのがよい.
(5)エレベーターの安全装置は,建築基準法により定められている.
2023年
問題98正解(4)頻出度AAA
二以上の非常用エレベーターを設置する場合には,避難上及び消火上有効な間隔を保つて配置しなければならない(建築基準法施行令第129条).
この「避難上及び消火上有効な間隔」については,直通階段の場合の歩行距離による規定のようなものはないが,2台並べるなど,一度に2台とも煙や火炎で使用が難しくなるような計画は建築確認でおそらく認められない.
-(1) わが国ではLPガス容器は一般的に鋼板製のものが多いが,現在ではFRP(繊維強化プラスチック)製のプロパンガスボンベも存在する(ヨーロッパなどではこちらが主流).いずれにしても容器は高圧ガス保安法に基づく検査合格刻印(または標章の掲示)がされたもの等でなければ使用できず,ボンベは常時40℃以下を保てる場所に設置しなければならない(一般高圧ガス保安規則).また,消費先にバルク貯槽を設置し,タンクローリー等により直接LPガスを充填する方法も用いられている(バルク貯留).
-(2) エスカレーターの公称輸送能力2023-98-1表参照.実際の輸送能力は公称輸送能力の65~85%で計算する.
型式 | 踏段幅 | 公称輸送能力(定格速度20m/分) |
S600型 | およそ600mm | 3,000人/h |
S1000型 | およそ1,000mm | 6,000人/h |
-(3) 我が国の電力事業者の供給電圧は,77~66kV,33~11kV,6.6kV,200V,100Vである.負荷に合わせて電気を安全に利用するには,供給電圧200V,100Vを除いて,自家用の受変電設備が必須となる.
-(5) エレベーターの安全装置には次のようなものが備えられている.
1.制動装置
2.扉開走行保護装置
3.地震時等管制運転装置(地震時,最寄階に着床,扉開)
4.荷重超過警報装置
5.非常照明(以上が今のところ法定(建築基準法施行令第129条の10))
6.火災時管制運転装置(火災時,避難階に直行,扉開)
7.停電時自動着床装置(停電時,最寄階に着床,扉開)