2023年

問題129排水通気配管に関する次の記述のうち,最も不適当なものはどれか.

(1)排水管から通気管を取り出す場合,通気管は排水管断面の垂直中心線上部から45°以内の角度で取り出す.

(2)ループ通気管は,最上流の器具排水管が排水横技管に接続される位置のすぐ下流から立ち上げて,通気立て管に接続する.

(3)結合通気管は,通気立て管と排水横枝管の間に設ける通気管で,排水立て管内の圧力を緩和する.

(4)通気立て管の下部は,排水立て管に接続されている最低位の排水横枝管より低い位置で,排水立て管から取り出す.

(5)排水立て管と排水横主管の接続部には,大曲がりベンドなどを用いる.

2023年

問題129正解(3)頻出度AAA

結合通気管は,排水立て管内の圧力変動を緩和するため,排水立て管から分岐して立ち上げ,通気立て管に接続する逃し通気管をいう(2023-129-1図参照).

逃し通気管:排水通気両系統間の空気の流通を円滑にするために設ける通気管一般を逃し通気管という.

2023-129-1図結合通気管・逃し通気管など
結合通気・逃し通気・返し通気・湿り通気

高層建築物では,ブランチ間隔10以上の排水立て管において,最上階から数えてブランチ間隔10以内ごとに結合通気管を設ける.

ブランチ間隔ブランチとは横枝管のことで,「ブランチ間隔」≒「建物の階高」である(2023-129-2図参照).

2023-129-2図ブランチ間隔
ブランチ間隔

 

通気設備は,普段目にすることは少ないが,建物からの円滑な排水のためには必要不可欠な設備である.

通気設備の目的は,
1.通気することによって排水の流下による排水管内の圧力変動を緩和し排水の流れを円滑にする.
2.圧力変動,サイホン作用からトラップの封水を保護する.
3.排水管内の換気

通気方式には大きく分けて,各個通気方式ループ通気方式伸頂通気方式特殊継手排水システムがある(2023-129-3図).

2023-129-3図通気方式
通気方式

ブランチ間隔が3以上の排水立て管でループ通気方式または各個通気方式を設ける場合は,通気立て管を設け2管式とする.

-(1) 排水横枝管から通気管を取り出す角度2023-129-4図参照.

2023-129-4図排水横枝管から通気管を取り出す角度
排水横枝管から通気管を取り出す角度

-(2) ループ通気管は,最下流の器具排水管を排水横枝管に接続した位置のすぐ下流からとする(2023-129-5図参照).

上流部分は一旦汚物が入ると,普段水が流れないので洗浄されず詰まる危険が大きい.

2023-129-5図ループ通気方式
ループ通気方式

なお,ループ通気では,多層建物の最上階を除くすべての階の大便器又は類似の器具8個以上を受け持つ排水横枝管はループ通気管を設けるほかに,その最下流における器具排水管が接続された直後の排水横枝管の下流側に,逃し通気管を設ける.

-(4) 通気立て管の下部,-(5) 排水立て管と排水横主管の接続部などは,通気立て管の施工2023-129-6図参照.

2023-129-6図通気立て管の施工
通気立て管の施工

出典(図)公益社団法人 日本建築衛生管理教育センター
「新建築物の環境衛生管理」(平成31年3月31日 第1版第1刷)中474 図6-7-2(5) を基に作成