2023年

問題138浄化槽の単位装置として採用されている接触ばっ気槽の点検項目として,最も不適当なものは次のうちどれか.

(1)水温

(2)pH

(3)ばっ気部分の発泡状況

(4)MLSS濃度

(5)生物膜の付着状況

2023年

問題138正解(4)頻出度AAA

生物膜法の接触ばっ気槽でMLSS(活性汚泥浮遊物質)濃度の点検は意味がない.MLSS濃度は,活性汚泥法のばっ気槽で点検する

浄化槽の単位装置の点検については,2023-138-1表参照.

2023-138-1表浄化槽単位装置の点検
単位装置名 点検内容
流入管きょインバートます,移流管(口),越流せき,散気装置,機械攪拌装置,流出口,放流管渠 異物等の付着状況
スクリーン 目詰まり,閉塞の状況
流量調整槽 スカム・堆積汚泥の生成状況,ポンプ作動水位,分水計量装置の作動状況
沈殿分離槽 スカム・堆積汚泥の生成状況
生物反応槽 生物膜法 嫌気ろ床槽,脱膣ろ床槽 スカム・堆積汚泥の生成状況,異物等の付着状況,目詰まりの状況
接触ばっ気槽 生物膜,剥離汚泥・堆積汚泥の生成状況
回転板接触槽 生物膜,剥離汚泥・堆積汚泥の生成状況
活性汚泥法 ばっ気槽 水温,MLSS濃度,空気供給量,溶存酸素濃度,SV30
沈殿槽 pH,浮上物の有無,スカム・堆積汚泥の生成状況,越流せきの水平,透視度,返送汚泥量(活性汚泥法),移送汚泥量
汚泥濃縮槽,汚泥貯留槽,汚泥濃縮貯留槽 スカム・汚泥の貯留状況
消毒槽 沈殿物の生成状況,消毒の状況

浄化槽は,生物処理の方法によって生物膜法と活性汚泥法に大別される(2023-138-2表参照).

2023-138-2表主な生物膜法と活性汚泥法
生物膜法 汚水中の汚濁有機物質が,ろ材,回転板などの固形物の表面に生成した生物膜との接触によって分解除去される. 担体流動法
回転板接触法
散水ろ床法
接触ばっ気法
活性汚泥法 槽内に浮遊する活性汚泥中の微生物が有機物を分解除去する. 標準活性汚泥法
長時間ばっ気法

浄化槽は,簡単に言えば,種々の機能を持った水槽を繋げたもの,といえる.それらの水槽を単位装置とよぶ.汚水はそれらの水槽を通過するうちに浄化された上澄み水と汚泥に分離される.上澄み水は消毒後河川等に放流され,汚泥はバキュームカー等によって引き抜かれ汚水処理施設に運搬されて次の処理が行われる.

浄化槽は,国土交通大臣の定めた構造(例示仕様)に適合するものと,それ以外のものがあるが,いずれも国土交通大臣の型式認定を受けたものでなければ,建築確認を受けることができない.例示仕様の浄化槽のフローシートの例を2023-138-1図に示す.

2023-138-1図例示仕様の浄化槽のフローシートの例
例示仕様の浄化槽のフローシートの例

出典公益財団法人 日本建築衛生管理教育センター
新建築物の環境衛生管理H31.3.31第1版第1刷 中530 図6-10-1(2)