2023年
問題140消火設備に関する次の記述のうち,最も不適当なものはどれか.
(1)消火器は,火災の初期発見段階での消火を目的としたものである.
(2)泡消火設備は,消火薬剤による負触媒作用を主とした消火方法である.
(3)不活性ガス消火設備は,不活性ガスの放出による酸素の低下を主とした消火方法である.
(4)閉鎖型スプリンクラ設備は,火災が発生した際に,スプリンクラヘッドが熱感知し,散水して初期消火するものである.
(5)屋外消火栓には,消火栓弁,ホース,ノズルを内蔵した屋外消火栓箱型と,地下ピット格納型,地上スタンド型がある.
2023年
問題140正解(2)頻出度AAA
泡消火設備は,消火薬剤による窒息・冷却作用を主とした消火方法である.
泡消火設備など放水以外による消火設備を2023-140-1表にまとめた.
名称 | 消火対象 | 消火剤 | 消火原理 |
泡消火設備 | 油火災 駐車場,飛行機格納庫,特殊可燃物,準危険物の貯蔵所・取扱所 |
水+泡消火薬 | 窒息作用 冷却作用 |
不活性ガス消火設備 | 電気室 通信機器室 ボイラ室 |
二酸化炭素,窒素, アルゴンなどの混合物 |
希釈作用 |
ハロゲン化物 消火設備 |
ハロゲン化物 (ハロン1301等)※ |
負触媒作用 | |
粉末消火設備 | 重炭酸ナトリウム等 の粉末 |
負触媒作用 |
※ ハロゲン化物消火設備のハロゲン化物はオゾン層破壊防止のため平成6(1994)年以降生産中止となった.
-(4) スプリンクラは最も有効な初期消火設備である.スプリンクラは大別して閉鎖型と劇場の舞台部に設ける開放型に分かれる(2023-140-2表,2023-140-1図参照).
閉鎖型 | 湿式 | スプリンクラヘッドまで配管内に水が加圧され満たされている. | 一般型 |
乾式 | 流水検知装置(アラーム弁)以降に圧縮空気が満たされている(凍結防止). | 寒冷地工場向け | |
予作動式 | ヘッドと火災感知器の両方が作動しない限り放水しない. | 病院,共同住宅,重要文化財,電算室など | |
開放型 | アラーム弁二次側配管に一斉開放弁を設置して,その先は開放型スプリンクラヘッドまでが空配管となっており,一斉開放弁を手動起動弁等で開放させてスプリンクラヘッドから散水する. | 劇場の舞台部 |
閉鎖型は火災時にスプリンクラヘッドの感熱部が分解することにより自動的に散水する.
従来のスプリンクラでは消火効率が悪いアトリウムなどの大空間部に,特殊な放水型ヘッドを設ける例が多くなってきている.この放水型スプリンクラ設備には固定式と可動式があり,可動式は放水銃(2023-140-2図)と呼ばれている.
出典東京サイレン株式会社
https://www.tokyo-siren.co.jp/items/housuikigu/ts-4020/
スプリンクラヘッドの未警戒部分には補助散水栓で代替できる.補助散水栓の規格は2号屋内消火栓と同一である.
スプリンクラ設備には非常電源を付置する.
-(5) 屋外消火栓2023-140-3図参照.
地上式,地下式の屋外消火栓には,歩行距離 5m以内にホースとノズルを格納した「ホース格納箱」を設置する.
出典
だれでもわかる消防用設備
https://syoubou123.com/2018/02/okugai-syoukasen-toha/ を基に作成
屋外消火栓 株式会社 北川鉄工所
https://www.k-fh.co.jp/product_features/
屋外消火栓箱,ホース格納箱 株式会社 大東製作所
https://www.daito-works.co.jp/20210203152454
屋外消火栓(地下式)静岡県長泉町
https://www.town.nagaizumi.lg.jp/soshiki/bousai/2/355.html