2023年

問題142建築物衛生法施行規則に定められた建築物清掃業の登録基準の内容として,最も不適当なものは次のうちどれか.

(1)清掃用機械器具として,真空掃除機,噴霧器を有すること.

(2)清掃作業に従事するすべての者が,規則に規定する研修を修了したものであること.

(3)清掃作業に従事する者の研修内容は,清掃用機械器具,資材の使用方法,清掃作業の安全衛生に関するものであること.

(4)清掃作業の監督を行う者は,厚生労働大臣の登録を受けた者が行う清掃作業監督者講習又は再確習の課程を修了して6年を経過していないこと.

(5)清掃作業及び清掃用機械器具等の維持管理の方法が,厚生労働大臣が別に定める基準に適合していること.

2023年

問題142正解(1)頻出度AAA

-(1) は,正しくは「清掃用機械器具として,真空掃除機,床みがき機を有すること」.
噴霧器は「建築物ねずみ昆虫等防除業」の登録要件に含まれる.

ビル管理法の「事業の登録」についてよく出題される事項は下記のとおり.

1.登録制度は,建築物の環境衛生に係わる事業者の資質向上を図るために設けられた.

2.次の各号(2023-142-1表)に掲げる事業を営んでいる者は,当該各号に掲げる事業の区分にしたがい,その営業所ごとに,その所在地を管轄する都道府県知事の登録を受けることができる.

都道府県知事は,前項の登録の申請があつた場合において,その申請に係る営業所のその登録に係る事業を行うための機械器具その他の設備,その事業に従事する者の資格その他の事項が厚生労働省令で定める基準に適合すると認めるときは,登録をしなければならない.

2023-142-1表ビル管理法の定める登録業
業種 業務内容
1号 建築物清掃業 建築物内の清掃を行う事業(建築物の外壁や窓の清掃、給排水設備のみの清掃を行う事業は含まない.)
2号 建築物空気環境測定業 建築物内の空気環境(温度、湿度、浮遊粉じん量、一酸化炭素濃度、二酸化炭素濃度、気流)の測定を行う事業
3号 建築物空気調和用ダクト清掃業 建築物の空気調和用ダクトの清掃を行う事業
4号 建築物飲料水水質検査業 建築物における飲料水について、「水質基準に関する省令」の表の下欄に掲げる方法により水質検査を行う事業
5号 建築物飲料水貯水槽清掃業 建築物の飲料水貯水槽(受水槽、高置水槽等)の清掃を行う事業
6号 建築物排水管清掃業 建築物の排水管の清掃を行う事業
7号 建築物ねずみ昆虫等防除業 建築物内において、ねずみ昆虫等、人の健康を損なう事態を生じさせるおそれのある動物の防除を行う事業
8号 建築物環境衛生総合管理業 建築物における清掃、空気調和設備及び機械換気設備の運転、日常的な点検及び補修(以下「運転等」という.)並びに空気環境の測定、給水及び排水に関する設備の運転等並びに給水栓における水に含まれる遊離残留塩素の検査並びに給水栓における水の色、濁り、臭い及び味の検査であって、特定建築物の衛生的環境の維持管理に必要な程度のものを併せ行う事業

3.登録の要件には,監督者の資格等人的要件,備えなければならない器具等の物的要件,作業の方法等の要件の3つがある.人的要件は2023-142-2表参照.

2023-142-2表登録業の人的要件
業種 監督者等 従事者
建築物清掃業 <清掃作業監督者>
●職業能力開発促進法に基づく技能検定であってビルクリーニング職種(等級の区分が1級又は単一等級のものに限る.)に係るものに合格した者又は建築物環境衛生管理技術者免状の交付を受けている者であって、厚生労働大臣の登録を受けた者が行う講習※1を修了した者
●従事者は、研修を修了したものであること※4
建築物空気環境測定業 <空気環境測定実施者>
●厚生労働大臣の登録を受けた者が行う講習※1を修了した者
●建築物環境衛生管理技術者免状の交付を受けている者(再講習は必要)
建築物空気調和用ダクト清掃業 <空気調和用ダクト清掃作業監督者>
●厚生労働大臣の登録を受けた者が行う講習※1を修了した者
●建築物環境衛生管理技術者免状の交付を受けている者(再講習は必要)
●従事者は、研修を修了したものであること※4
建築物飲料水水質検査業 <水質検査実施者>
●大学又は旧専門学校において、理科系の課程を修めて卒業した後、1年以上の実務経験※2を有する者
●衛生検査技師又は臨床検査技師であって、1年以上の実務経験※2を有する者
●短期大学又は高等専門学校において、生物又は工業化学の課程を修めて卒業した後、2年以上の実務経験※2を有する者
●上記と同等以上の知識及び技能、技能を有すると認められる者※3
建築物飲料水貯水槽清掃業 <貯水槽清掃作業監督者>
●厚生労働大臣の登録を受けた者が行う講習※1を修了した者
●建築物環境衛生管理技術者免状の交付を受けている者(再講習は必要)
●従事者は、研修を修了したものであること※4
建築物排水管清掃業 <排水管清掃作業監督者>
●厚生労働大臣の登録を受けた者が行う講習※1を修了した者
●建築物環境衛生管理技術者免状の交付を受けている者(再講習は必要)
●従事者は、研修を修了したものであること※4
建築物ねずみ昆虫等防除業 <防除作業監督者>
●厚生労働大臣の登録を受けた者が行う講習※1を修了した者
●従事者は、研修を修了したものであること※4
建築物環境衛生総合管理業 <統括管理者>
●建築物環境衛生管理技術者免状の交付を受けている者であって、厚生労働大臣の登録を受けた者が行う講習※1を修了した者
<清掃作業監督者>
●建築物清掃業と同じ
<空調給排水管理監督者>
●職業能力開発促進法に基づくビル設備管理職種に係るものに技能検定合格者又は建築物環境衛生管理技術者免状の交付を受けている者であって、厚生労働大臣の登録を受けた者が行う講習※1を修了した者
<空気環境測定実施者>
●建築物空気環境測定業と同じ
●清掃作業従事者及び空調給排水管理従事者は、研修を修了したものであること※4

※1:6年ごとに再講習を受けなければならない.
※2:水質検査又はその他の理化学的もしくは細菌学的検査の実務に従事した経験に限る.
※3:大学もしくは短期大学と同程度とされる学校で所要の課程を修めて卒業した後,所要の実務経験を有する者又は技術士(水道部門もしくは衛生工学部門に限る.)
※4:登録事業に従事する者として,パート,アルバイト等であっても従事者研修の対象となる.又,従事者研修は,作業に従事する者全員が1年に1回以上研修を受ける体制を事業者がとっていることが必要.ただし,従事者全員を1度に研修することが事実上困難を伴う場合には,何回かに分けて行うことも可能.
従事者研修のカリキュラム例が厚生労働省から通知されている.

4.登録要件のうち,物的要件を2023-142-3表に挙げる.こちらからも出題が多い.

2023-142-3表登録業の物的要件
業種 機械器具 設備
建築物清掃業 (1)真空掃除機
(2)床みがき機
建築物空気環境測定業 (1)浮遊粉じん測定器
(2)一酸化炭素検定器
(3)炭酸ガス検定器
(4)温度計
(5)空気環境測定実施者湿度計
(6)風速計
(7)空気環境の測定に必要な器具
建築物空気調和用ダクト清掃業 (1)電気ドリル及びシャー又はニブラ
(2)内視鏡(写真を撮影することができるものに限る.)
(3)電子天びん又は化学天びん
(4)コンプレッサー
(5)集じん機
(6)真空掃除機
建築物飲料水水質検査業 (1)高圧蒸気滅菌器及び恒温器
(2)フレームレス―原子吸光光度計、誘導結合プラズマ発光分光分析装置又は誘導結合プラズマ―質量分析装置
(3)イオンクロマトグラフ
(4)乾燥器
(5)全有機炭素定量装置
(6)pH計
(7)分光光度計又は光電光度計
(8)ガスクロマトグラフ―質量分析計
(9)電子天びん又は化学天びん
水質検査を適確に行うことのできる検査室
建築物飲料水貯水槽清掃業 (1)揚水ポンプ
(2)高圧洗浄機
(3)残水処理機
(4)換気ファン
(5)防水型照明器具
(6)色度計、濁度計及び残留塩素測定器
機械器具を適切に保管することができる専用の保管庫
建築物排水管清掃業 (1)内視鏡(写真を撮影することができるものに限る.)
(2)高圧洗浄機、高圧ホース及び洗浄ノズル
(3)ワイヤ式管清掃機
(4)空圧式管清掃機
(5)排水ポンプ
機械器具を適切に保管することができる専用の保管庫
建築物ねずみ昆虫等防除業 (1)照明器具、調査用トラップ及び実体顕微鏡
(2)毒じ皿、毒じ箱及び捕そ器
(3)噴霧機及び散粉機
(4)真空掃除機
(5)防毒マスク及び消火器
機械器具を適切に保管することができる専用の保管庫
建築物環境衛生総合管理業 (1)真空掃除機
(2)床みがき機
(3)空気環境測定業の機械器具
(4)残留塩素測定器

4.作業の方法及び作業を行うための機械器具その他の設備の維持管理の方法が「清掃作業及び清掃用機械器具の維持管理の方法等に係る基準」(平成14年厚生労働省告示第117号)に適合していることが必要.

5.その他
登録の有効期間は6年.
何人も,登録を受けないで,当該事業に係る表示又はこれに類似する表示をしてはならない.
登録は営業所ごとに受け,登録の表示は登録を受けた営業所に限られる(法12条の3).
表示ができないだけであって,登録しなくともこれらの事業を行うことは,ビル管理法上は全く構わない.
単なる清掃員控え室などを営業所として登録することはできない.
特定建築物に選任された建築物環境衛生管理技術者は,登録営業所の監督者を兼務することはできない.
監督者等は,複数の営業所の監督者等を兼務することはできない.
特定建築物に対する監督権限と違って,登録業の監督権限は都道府県知事に限られる(保健所を設置する市長,特別区々長に権限はない).