2023年

問題152弾性床材の特徴と維持管理に関する次の記述のうち,最も不適当なものはどれか.

(1)ゴム系床材は,剥離剤によって変色やひび割れ等を生じることがある.

(2)床緋持剤の塗布によって,汚れが付きにくく,除去しやすくなる.

(3)塩化ビニル系床材は,タイルもシートも可塑剤を含む.

(4)リノリウム床材のフロアポリッシュは,アルカリ性の剥離剤で除去する.

(5)日常清掃,ダストモップを用いて土砂やほこりを除去する.

2023年

問題152正解(4)頻出度AAA

リノリウムはアルカリに弱いので剥離剤は使用できない.

リノリウムなど,弾性床について2023-152-1表参照.

2023-152-1表弾性床材
種類 組成 特徴
リノリウム
リノタイル
材料は天然素材である.麻布・紙(基材),コルク木粉,炭酸カルシウム,亜麻仁油,顔料

抗菌性がある.多孔質,アルカリ性洗剤・水に弱い.
剥離剤により簡単に色抜け,変色,風合いの低下が起きる.

アスファルトタイル アスファルト,炭酸カルシウム,クマロン樹脂,顔料

耐水性あり.
耐溶剤性に乏しい.

ゴムタイル
ゴムシート
天然ゴム,合成ゴム,炭酸カルシウム,陶土,加硫剤,顔料,酸化防止剤

耐摩耗性に優れる.
溶剤・強アルカリ性洗剤に影響される.剥離剤により黄変.

塩化ビニルタイル
塩化ビニルシート
塩化ビニル=酢酸ビニル共重合樹脂,可塑剤,炭酸カルシウム,安定剤,顔料

剥離剤・洗剤に対して耐性が大きく,耐水性にも富む.
可塑剤によって床維持剤の密着不良が起きやすい.
床維持剤塗布の要らない製品が開発されている.

-(2) -(5) 弾性床材の維持管理(ドライメンテナンス法)について.

ドライメンテナンス作業法は,弾性床の床維持剤皮膜の,現在主流とされる維持管理方法である.

日常清掃では,ダストモップなどを用いて床維持剤皮膜を傷つける土砂やほこりを除去した上で,床維持剤の皮膜の汚れの程度と質に応じて,2023-152-2表スポットクリーニングを繰り返す床管理方法である.洗剤・水で定期的に床洗浄するウェットメンテナンス法に比べて,水の使用量がきわめて少なくてよいのが特徴である.

2023-152-2表ドライメンテナンスのスポットクリーニング技法
ドライバフ法(からバフ)

歩行により光沢度の低下した被膜を,研磨剤を含まないフロアーパッド(専用パッド,白パッド)で研磨し,光沢度を回復させる作業である.スプレー液を使用せず,一般の床磨き機,又は超高速床磨き機(バフ機.1,000~3,000回転)で磨く.床面の土砂,ほこりを完全に除去してから作業を行うことが大切である.床磨き機の回転数が高いほど,フロアポリッシュの被膜と接地面の温度が高くなり,光沢度回復が簡単にできる.

スプレーバフ法

スプレーバフ作業法は細かい傷と軽度の汚れ(ヒールマーク,靴跡)を除去する作業で,洗浄つや出し作用をもつ液をスプレーしながら,専用パッド(赤パッド)で磨く作業である.

スプレー
クリーニング法

汚れや傷がワックス内に入り込んでいる場合には,洗浄作用のあるスプレー液をかけながら少し目の荒い緑・青パッドを装着した200回転の床磨き機を用いて,バフィングを行う.これによりワックス層が数層削れるので,その後又フロアポリッシュを1~2層塗布しバフィングにより皮膜の形成を行う.

床維持剤の黒ずみが目立つようになったら,再度完全剥離洗浄を行い,始めの基礎皮膜の形成から改めて行う.