2023年

問題175剤とそれに関連する事項との組合せとして,最も不適当なものは次のうちどれか.

〔薬剤名〕〔関連事項〕

(1)プロマジオロン    建築物衛生法に基づく特定建築物内では使用不可

(2)シリロシド      第2世代の抗凝血性殺鼠剤

(3)リン化亜鉛      1回の経口摂取で致死

(4)クマテトラリル    第1世代の抗凝血性殺鼠剤

(5)ジフェチアロール   建築物衛生法に基づく特定建築物内で使用可能

2023年

問題175正解(2)頻出度AAA

シリロシドは急性殺鼠剤である.

殺鼠剤はすべて食毒で,抗凝血性殺鼠剤,急性毒剤に大別される.

1)抗凝血性殺鼠剤

(1)クマリン系殺鼠剤と総称され,第1世代として,ワルファリンフマリンクマテトラリル(エンドロサイド)などがある.
遅効性で,通常連日(3~7日)少量を摂取させ,これによって血液が凝固する時間が次第に延長しやがて出血死する.
(2)1日おきなど摂取に中断が起きると効果は著しく低くなる.
(3)人畜に対しては,連日誤食される可能性は低いので安全性の面から汎用される.
(4)感受性の落ちたクマネズミでは2週間~1カ月も配置するので誤食を防止するため毒餌箱を用いる.
(5)クマネズミ及びドブネズミの一部には,ワルファリンへの薬剤抵抗性を有した個体が存在し,スーパーラットと呼ばれている.ワルファリン抵抗性対策として,第2世代の抗凝血性殺鼠剤が開発され,日本ではジフェチアロールが承認されている.この薬剤は1回の投与で効果が得られる.

2)急性毒剤

1回の摂取でネズミを致死させる.
高密度の生息数を急激に減少させるような目的に向いている.
(1)ノルボルマイドはドブネズミに著効を示す.
(2)シリロシドはハツカネズミに効果が大きいが激しい中毒症状がある.
(3)リン化亜鉛硫酸タリウム黄リンアンツーなどもこのタイプの殺鼠剤である.
(4)ネズミが慣れて喫食するまで数日間設置する必要がある.

3)忌避きひ剤(こう害防止)

ネズミに対する忌避剤としてはシクロヘキシノミドカプサイシンがある.かじられては困る電線などに処理するスプレーや,かじられたあとの補修に用いるぺースト状の製品がある.

忌避は味覚によるので通路などへの処理は無効であり,ある種の音波や臭いのように,ネズミを追い出す効果は期待できない.

4)殺鼠剤の剤型

固形剤,粉剤,液剤等がある.固形剤はそのまま配置使用する.粉剤は餌材料にまぶしたり,ネズミの鼠穴そけつ通路に散布する方法もあるが安全性に注意しなければならない.
液剤は,ネズミは水を好むので毒水として用いる.

-(1) ブロマジオロン製剤動物用医薬部外品である(医薬品,医療機器等の品質,有効性及び安全性の確保等に関する法律で定められた動物のために用いる医薬部外品で,監督官庁は農林水産省である).ブロマジオロン製剤は畜舎のねずみの防除に用いる.第二世代のクマリン系殺鼠剤で,従来のワルファリン抵抗性ネズミにも優れた効果を発揮する.

言うまでもないが,動物用医薬部外品は,特定建築物内で使用することはできない.