2023年

問題180害虫や薬剤に関する次の記述のうち,最も不適当なものはどれか.

(1)喫食抵抗性は,毒餌の基剤に対する喫食忌避によって発達する.

(2)ペストコントロールのペストとは,ネズミや害虫等の有害な生物を指す.

(3)定期的で頻繁な薬剤処理は,チャバネゴキブリやチカイエカ等の薬剤抵抗性の急激な発達要因となる.

(4)選択毒性とは,単位体重当たりで比較したとき,ある化合物の毒性が生物種によって異なることをいう.

(5)人獣共通感染症とは,ヒトから動物ではなく,動物からヒトに病原体が伝播ぱされる感染症を指す.

2023年

問題180正解(5)頻出度AAA

人獣共通感染症の感染の方向は,「ヒト⇔動物」双方向である.WHO(世界保健機関)では,
「脊椎動物と人の間で自然に移行するすべての病気又は感染(動物等では病気にならない場合もある)」と定義している.

-(1) 喫食抵抗性について,「ジェル剤に対する抵抗性は,餌成分に対する喫食性低下(行動的抵抗性)と有効成分に対する抵抗性(生理的抵抗)があるが,現場においては行動的抵抗性の方が先行するようである.」との研究報告がある.
出典 日本衛生動物学会「殺虫剤研究班のしおり」など.

-(2) ねずみ,昆虫の防除業者をペストコントロールオペレーター(PCO)という.

-(4) ある薬剤の毒性がヒトまたは動物に対して小さく害虫で大きい場合,その薬剤は選択毒性が高いと言い,安全も確保しやすい.言い換えれば,LD50値が,防除対象害虫等に対しては小さく,ヒト・動物に対しては大きいほど,薬剤の安全性は確保しやすい.