2024年
問題100地震災害・防災対策に関する次の記述のうち,最も不適当なものはどれか.
(1)地震の揺れの強さを示す指標として,我が国では国際的なメルカリ震度階が用いられている.
(2)地震の規模を表すマグニチュードの値は,1 大きくなるとエネルギーは約30倍になる.
(3)同じ強度の構造物であれば,地上に比べ地震動の増幅が小さい地下の方が構造的安全性は高い.
(4)緊急地震速報(警報)は,一定規模以上の地震が発生した際,気象庁から揺れが強いと予想される地域に発せられる.
(5)地震被害の軽減を図るため,大規模事業所には防災管理者の選任が義務付けられている.
2024年
問題100正解(1)頻出度AAA
我が国の震度階は独自の「気象庁震度階級」で表されている.
気象庁震度階(震度 0,1,2,3,4,5弱,5強,6弱,6強,7の10階級)は,現在では地震計の加速度記録から100%計算で求められているが,イタリア発祥の「メルカリ震度階(MM震度階:12階級)」は人の感じる揺れ,建物の損傷の度合いなどをもとに求められ数学的な根拠はない.したがって比較が困難なため,旧気象庁由来の震度階級を用いている台湾を除いて,海外の地震の震度は報じられない(マグニチュードのみ).
-(2) 地震のエネルギーを[J],マグニチュードを
とすると,
すなわち,
-(3) 地震の振幅は基本的に地盤→地中→地上→建物→高層階と大きくなっていくので地上と比べ地中の方が倒壊などの構造的危険性は小さい.地下の揺れはおおまかには地上の揺れの半分程度という研究報告がある。ただし,津波などの発生を考えると地下に潜っていればいいと考えるのも危険がある.
-(4) 緊急地震速報は,気象庁より全国瞬時警報システム(J アラート)を用いて,緊急速報メール,市町村防 災行政無線等により,国民・住民に瞬時に伝達される.J アラートは,国民保護法に基づき全国瞬時警報システム業務規程により運用されている.
-(5) 防災管理者は,防火管理者とは別に,地震対策とテロ対策を行うために平成20年(2008年)の消防法の改正で導入された.防災管理者を選任しなければならない防火対象物は,例えば,地階を除く階数が11の防火対象物で,延べ面積が1万平方メートル以上のもの,等(消防法施行令第4条の二の四).