2023年

問題94鉄骨構造とその材料に関する次の記述のうち,最も不適当なものはどれか.

(1)はり部材には,形鋼や鋼板の組立て材などが用いられる.

(2)鋼材の強度は温度上昇とともに低下し,1,000℃でほとんど零となる.

(3)鉄骨構造は耐食性に乏しいため,防せい処理が必要である.

(4)骨組の耐火被覆の厚さは,耐火時間に応じて設定する.

(5)鋼材の炭素量が増すと,一般に溶接性が向上する.

2023年

問題94正解(4)頻出度AAA

鋼は炭素の含有量が増加すると引張強度は高くなる(0.85%で最大)が伸びや靭性,溶接性が低下,降伏比(=降伏強さ/引張強さ)が大きくなる傾向を示し,硬くなるがもろくなる.構造用鋼材に用いられる軟鋼の炭素含有量は,0.2~0.3%である.さらに炭素の少ない極軟鋼は針金,釘などに用いられる.
※ 降伏比2022年問題96参照.

-(1) 形鋼の種類,建築部位と使用鋼材は2023-94-1図2023-94-1表参照.

2023-94-1図形鋼等の種類
形鋼等の種類

2023-94-1表建築部位と使用鋼材
建築部位 形鋼
母屋 山形鋼
鋼柱 角型鋼管
梁,小梁 H形鋼
スラブ床の下地 デッキプレート
(面が波型の幅広の帯鋼)
筋交い 溝形鋼ターンバックル

-(2) -(4) 鉄骨構造比強度が大きく(太さ,重さのわりに強く),じん性に富み耐震的にも有利なので,大スパン構造,超高層ビルに用いられるが,欠点として,耐火耐食性に劣り,耐火被覆,防せい処理を要する.鋼材は 500℃で強度が 1/2,1,000°Cで0となり,1,400~1,500℃で溶解する.不燃材料ではあるが耐火材料ではない.
耐火被覆はコンクリート,モルタル,プラスタ,ロックウール吹付け,ALC板などによる方法がある.耐火被覆は,耐火時間に応じて被覆厚さを変える.